今年も本格的な冬将軍の到来となり、慌ただしくなってまいりました。
奥歯を失って、食事に不便に感じつつもいつの間にか慣れてしまい、治療を先延ばしにしていませんか。よく噛めないお口になるとお肉や野菜が食べにくくなり、食の好みが変わって、軟らかくて食べやすく、簡単に満足感を得られるものに手が伸びやすくなります。こうした食事はカロリーオーバーを引き起こしやすい一方で、筋肉量の維持に必要な動物性タンパク質や、老化を防ぎ体調を整える抗酸化物質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が乏しく、栄養偏りを招きやすいのです。
タンパク質の摂取が不足すると、「サルコペア(骨格筋減少症)」になる危険性が高まります。これはつまずきや転倒の原因で、フレイル(要介護状態への前段階)に直結します。くわえてビタミンやミネラルは、摂取したタンパク質を使って効率よく筋肉量を維持するために欠かせません。
噛まずに流し込めるやわらかい食事は、歯が入っても食べやすいことに変わりはありません。そのため、治療後も、奥歯がなかった頃の好みが継続してしまいがちです。定着した食習慣を改善するのは難しいものですが、改善しないとますますメタボが加速し、動脈硬化や糖尿病などを発症、重症化させかねません。
治療に区切りがついたら、体に良い食生活に戻していきましょう。