診療室よりこんにちは
今年も鍋の美味しい季節となりました。
肝臓は体の中で最も大きな臓器で、生きていくために必要なたくさんの働きがあります。
代表的な働きは、食べ物から摂った栄養素を変換して貯蔵し、必要な時に供給する代謝、有害物質を分解、無害な物質に変える解毒、老廃物の排泄や脂肪の消化吸収を助ける胆汁の生成・分泌などです。
お酒の飲み過ぎが肝臓にダメージを与えることはよく知られていますが、「お酒を飲まないので大丈夫」と言い切ることはできません。
日本人の脂肪肝の原因で多いのは、アルコール以上に暴飲暴食や運動不足によるものです。またストレス、喫煙も肝臓に悪影響を及ぼします。
暴飲暴食やたばこの吸い過ぎなどにより、肝臓は過剰な有害物質にさらされます。
肝臓での解毒作用が追いつかなくなり、解毒しきれない有害物質が出てきます。
この有害物質が、肝臓で酸化ストレスや炎症を引き起こすことで、肝臓の細胞が損傷してしまいます。
さらに肝臓のダメージが進むと、重篤な疾病に発展する恐れがあるため、注意が必要です。
しかし肝臓は沈黙の臓器といわれているように、異常に気づくのが難しく、症状が出てからでは遅いといわれています。
だからこそ、定期検診などで、肝機能マーカー(ALT,AST,γ-GTP等)の数値を確認し、肝臓の状況を把握することが大切です。
自覚症状の少ない肝臓のダメージですので、日頃から肝臓をいたわるように心がけましょう。