皆さんはどんな時に歯科医院を受診しますか。①定期健診②痛いときや調子が悪い(今までと違う)時がほとんどではないでしょうか。
定期健診ではメインテナンスでしょうから思っていた通り、時間通り患者さん側も歯科医師側も予定通り、特に何事もなく終えることが多いと思います。
しかし痛くて受診される場合はそうはいきません。通常お口の中の痛みは、炎症(感染)が原因になることが多くあります。むし歯の痛みも歯の神経(歯髄)の炎症によって痛くなるのです。
歯科治療でよく痛かったというお話が出ます。痛いというのは、生体を維持するための反応で、防御反応です。組織と生体全体の相互反応で、治癒回復の過程を促進するものです。したがって、痛いときは毛細血管透過性、細動脈の拡張により、血流の増加が起こります。(口腔外では、加えて発赤、熱感や腫脹等も現れることも多くあります)
歯の神経や腫れている歯ぐきには直接麻酔はできませんし、しません。周囲の歯ぐきに麻酔をします。その際、歯ぐきに注入された麻酔薬が骨の中に浸透して、さらに歯根の先端にまで浸透することで初めて歯に麻酔が効きます。
痛みのある部位は先程書きましたように、血管の透過性と拡張により麻酔薬が届きにくく、留まりにくくなっています。
炎症の状態にもよりますが、下の奥歯であったり、骨格のしっかりした人も効きにくい場合があります。
対策としては、通常よりも多くの麻酔を行ったり、時間をおいて治療を始めるようにしています。その時の状況によっては、まずは応急処置と内服薬で痛みを鎮めてから、日を改めてから治療(麻酔)を行います。
痛みがない部位での麻酔が効きにくいことはほとんどありません。麻酔が効きにくい場合でも量を増すか時間を置くかで十分に対応ができるようになります。
痛みがある場合にはあまり辛抱せずに早目に受診しましょう。
一番良いのは定期健診により、痛みのないうちに疾患を見つけて、治療を行うことです。