

「命」という漢字は、冠をかぶった人がひざまずき、天に祈る姿を表しているといわれます。そこには、命あるものへの感謝と、見えないものへの畏敬(いけい)の心が込められています。仏教でも「命をいただく」とは、生き物の命を無駄にせず、自らの命をよりよく生かすことに通じると説かれています。
日本人の食習慣である「いただきます」と「ごちそうさま」は、動植物の命をいただくことへの祈りであり、その命を育ててくれた生産者や、運び、調理してくれたすべての人への感謝の言葉です。
さて忙しい中での食生活にかかせない、加工の程度が高く、調理の手間が不要で手軽な食べ物「超加工食品」といわれるものがあり、、ソーセージ、ハムなどの加工肉、レンジアップやお湯を注ぐなどしてすぐ食べられる冷凍ピザやインスタント食品、パッケージを開ければ飲食できるスナック菓子や清涼飲料水などが含まれます。
この「超加工食品」で10代~80代の1日総エネルギー摂取量の3~4割を占めているといわれています。「超加工食品」の原材料を見てみると、「命」の気配が見えません。手軽さを求めすぎた結果、「食べること」が単なるお腹を満たすだけの行為になっていないでしょうか。
食品を選ぶとき、「これは何の命でできているのか?」を問いながら、食べる物を選ぶ力が求められる時代になりました。食べたものがあなたをつくっています。命を感じ、感謝を込めて咀嚼(そしゃく)し、味わって食べましょう。命ある食べ物を、命ある食べ方でいただくことこそ、良食です。